ワクチンも4回目。「オミクロン株」などという言葉を初めて聞いてからもだいぶたった。変異株の毒性かどうかは知らないが、重症化が少なくなったことは良い事。自粛が開けて若夫婦の帰省を待っていたのは、そこに残された箸とともに、孫の成長を楽しみにする爺婆。「箸も喜ぶ」という中七に、目を細めて家族の再会に心を躍らせる姿が投影されている。あたたかい気持ちにさせてくれるのが嬉しい一句。
- 戦禍見てそっと箸置く腹八分 東京都「ペンネーム/むーむー」さん(39歳)
- 毎日のように流れて来たウクライナの戦況は、単に兵隊同士の戦いではなく、民間人の傷つく姿も。その惨さに食事の箸を止めてしまうのは人間性そのもの。「箸」という身近な存在を通しても、「今」という時代が投影されてしまうのが川柳。遠い戦況が身近な火の粉にならぬ様にと思う。