講評/箸という日本の文化の一面を象徴する存在を通して、古くから継承されてきた日本の心、自負が見えてくる。箸の持ち方やちょっとした仕草だけで、自らが受け継ぎ子に託した「しつけ」が、また次の世代へ受け継がれる安堵と悦び。核家族化の社会での外孫の様子とすれば、さらにその思いは作者にとって強いのではなかろうか。箸を通しての文化が一句となった。
特別審査員
近藤珠實 賞
- 子が巣立ち 無口な箸が 残される 大阪府 平井さん(69歳)
- 評価/毎日、食事をしながら交わした家族の楽しい会話!巣立って行った子どもの箸は、何も言わないけれど、見るたびその子の想い出が・・・。「箸」がいかに使っていた人の一部になっているかを強く思わせられます。