何気ない日常の一コマを描いた一句だが、ここにはコロナ禍による分断の世を越えてきた「今」という時間が捉えられ、逢うことが難しかった遠くの孫との再会の喜びとともに、離れていた年月の間の孫の成長が「箸長し」というだけで目に映るように描かれた。僅か十七音で捉えた昨今の新型コロナと人間の時間が凝縮された見事さに拍手したい。
- 行儀よく箸の向こうに神がいる 大阪府「ペンネーム/せっちゃん」さん(80歳)
- 食卓の上に並べられた箸は、ピシッと揃えられている。時には、お好みの箸置きに彩られる。日本の食文化の中で神代から伝わる箸文化は、日本人の食に対する姿勢そのものだった。箸の行儀良さとともに食事という日常の些事にも「行儀」を求める文化は美である。日本人に生まれてよかったと思う。