第17回箸川柳大賞

2022年6月1日に締め切りました「第17回箸川柳」公募に、3,448句のご応募をいただきました。
3年ぶりの公募ということで、久しぶりに皆様のお箸に対する思いを箸川柳を通して感じることができました。
この場をお借りして、厚くお礼申し上げます。

兵左衛門社内での厳選なる選考の結果、大賞ほか、各賞が決定いたしました。

第17回箸川柳 大賞
2年ぶり箸も喜ぶ子の帰省
神奈川県「ペンネーム/怪傑もぐり33世」さん(51歳)

ワクチンも4回目。「オミクロン株」などという言葉を初めて聞いてからもだいぶたった。変異株の毒性かどうかは知らないが、重症化が少なくなったことは良い事。自粛が開けて若夫婦の帰省を待っていたのは、そこに残された箸とともに、孫の成長を楽しみにする爺婆。「箸も喜ぶ」という中七に、目を細めて家族の再会に心を躍らせる姿が投影されている。あたたかい気持ちにさせてくれるのが嬉しい一句。

大賞賞品/箸職人が作るオリジナル(大賞川柳入)の携帯箸「八四郎(はしろう)」セット
優秀賞
ウェブ飲み会箸や食器で見栄をはる
東京都 菅さん(63歳)

コロナ禍による人と人との分断が身近に…。逆手に増えてきたのが「ウェブ○○」だが、ともすると背景に映り込んでしまう私生活。こんな時にもニンゲンは「見栄」を捨てきれない。兵左衛門の塗り箸なら、さぞかし輝いて映ることだろう。

優秀賞賞品/箸職人が作る優秀賞川柳入り箸セット
優秀賞
黙食で映える綺麗な箸使い
兵庫県「ペンネーム/ゆめろら」さん(40歳)

「黙食」も時代のコトバ。さればこそ、目に映りやすくなってくるのが食事の仕種。作者は、パートナーの箸遣いに惚れ直したのか、はたまた自分の箸遣いに意識を持ったのか…。いずれにせよ、コロナ禍という世界が、この句を生んだのも事実。

優秀賞賞品/箸職人が作る優秀賞川柳入り箸セット
優秀賞
マイ箸も待ちわびているコロナ明け
愛知県「ペンネーム/さごじょう」さん(39歳)

誰もが共感する思い。三年待ちわびて、今まだ第七波の最中だが、やがて人智は疫病を乗り越えるだろう。晴れて、「マイ箸」を伴って人生の旅に出る日も遠からず。

優秀賞賞品/箸職人が作る優秀賞川柳入り箸セット
優秀賞
まだ箸で食べれる母に安堵する
東京都「ペンネーム/ルーク」さん(60歳)

加齢は、誰も避けることのできない因果。とはいえ、親を看るという時期になると、だんだん衰えていく姿に遭遇せざるを得ない。そんな時、「箸」という親しんだツールに「まだ大丈夫」が映ったよう。食事は、生きる事の大切な瞬間だから。

優秀賞賞品/箸職人が作る優秀賞川柳入り箸セット
特別審査員 十六代尾藤川柳 賞
戦禍見てそっと箸置く腹八分 東京都「ペンネーム/むーむー」さん(39歳)
毎日のように流れて来たウクライナの戦況は、単に兵隊同士の戦いではなく、民間人の傷つく姿も。その惨さに食事の箸を止めてしまうのは人間性そのもの。「箸」という身近な存在を通しても、「今」という時代が投影されてしまうのが川柳。遠い戦況が身近な火の粉にならぬ様にと思う。
十六代尾藤川柳
1960年東京生まれ。十六代目の櫻木庵川柳。
女子美術大学特別招聘教授、早稲田大学エクステンションセンター川柳講座講師、川柳学会専務理事、「川柳はいふう」主宰。
発祥以来260年、人々の中に生きた文芸としての川柳発信を行いながら、川柳文化の継承を担っている。

賞品/受賞された方の名前を入れたお箸

特別審査員 兵左衛門会長 賞
my箸でSDGsグルメ旅 岐阜県「ペンネーム/けんちゃん」さん(27歳)
my箸お供に清く正しく美しく。世界の優等生の仲間入り。おいしいグルメが目に浮かぶ元気をさそう句。
兵左衛門会長
1945年福井県生まれ。
長年にわたって箸のもつ奥深さ・文化性を唱え、各地で啓発活動を重ねる。保育園や小学校でのお箸知育教室を展開、父母・教育機関からも注目を得る。ボランティア活動として、「阪神・淡路大震災」「三宅島火山噴火」「東日本大震災」など災害被害者の人々に箸を寄付。箸文化認知を高めるため日枝神社の箸感謝祭に協力。
アオダモ(バットの素材)の保護育成運動に参加。これらの活動が認められ、日本文化振興会より「社会文化功労賞」を贈られる。

賞品/受賞された方の名前を入れたお箸

入選※順不同
  • コロナ禍はマスクマナーと箸マナー 東京都「ペンネーム/令和肥後もっこす」さん(62歳)
  • スマホ見るポテトチップは箸で食べ 熊本県「ペンネーム/歌仙草」さん(69歳)
  • 箸のこと「お箸」と呼ぶ君が好き 埼玉県「ペンネーム/くるみ」さん(36歳)
  • スプーンより孫を笑顔にするお箸 福島県「ペンネーム/やんちゃん」さん(60歳)
  • よく動くステイホームの箸と妻 埼玉県「ペンネーム/りっか」さん(52歳)
  • 箸だから米一粒を味わえる 埼玉県「ペンネーム/雄之介」さん(63歳)
  • 小さな手箸が持てれば笑顔咲く 三重県「ペンネーム/さばお」さん(13歳)
  • どこいったかたっぽの箸食洗機 滋賀県山下さん(14歳)
  • ふるさとに帰れば僕の箸がある 埼玉県「ペンネーム/だんでらいおん」さん(55歳)

入選賞品/兵左衛門の人気のお箸を差し上げます。

佳作※順不同
  • 戦争の値上げが箸を鈍らせる 兵庫県「ペンネーム/ぽん太」(65歳)
  • 女子会の箸とマスクのせめぎ合い 奈良県「ペンネーム/たおやめ」さん(58歳)
  • 「箸二膳」見栄張る嘘を使い慣れ 東京都「ペンネーム/ねむり」さん(38歳)
  • ソロキャンプ肉焼く箸で星掴む 静岡県「ペンネーム/ぴかちゅー」さん(33歳)
  • 初めての箸でつまんだ無限大 神奈川県「ペンネーム/中年やまめ」さん(75歳)
  • いい箸が唐揚げばかり食べさせる 東京都「ペンネーム/糖質無制限」さん(36歳)
  • 箸使い上手な爺は老い知らず 広島県「ペンネーム/よし得」さん(79歳)
  • マイ箸で小さな一歩脱炭素 滋賀県「ペンネーム/しなやかーる」さん(69歳)
  • 息をのむ完全試合止まる箸 大阪府「ペンネーム/逆ペリカン」さん(39歳)
総評
疫病に戦争、地震も多く感じる昨今。そんな時代にも箸は、日本人の生活と密着した存在として変わることがない。さて、そんな「箸」も、川柳で捉えると「今」という世相が見えてくる。つづくコロナ禍。多少の慣れも生じたが、「自粛」「黙食」や「Web飲み」などが定着して作品にも現れた。「SDGs」は、時代の言葉だが、そんなことは、箸文化にとっては、二千年も前から。平和であってこその食文化にも戦争の影が消せない今日。今年は、また何かの節目のような作品が多かったと感じたのは私だけであろうか。箸を使う時間が楽しい平和な世が続くことを願う。 特別審査員/川柳家 十六代尾藤川柳

第17回箸川柳大賞にご応募いただいた皆様、誠にありがとうございました。
今後とも、兵左衛門をよろしくお願いいたします。

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